一より習ひ

「稽古とは一より習い十を知り、
 十よりかえる元のその一」なのだそう。
 和の世界をマイペースで巡る
 植田伊津子の徒然記です。

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絽ちりめん

あっというまに、またもや時間が過ぎている。
もう8月も末である。今年の夏は、なにかと忙しかったせいで夏休みをとりそびれた。仕事漬けの2ヶ月は少し寂しい。

昨日は、お茶のお仲間有志による花月の勉強会であった。今月はわがお稽古場のお茶のお稽古は夏休みなので、久しぶりにきものを着る。

ちょうど先週末、きものに詳しいフリー編集者の田中敦子さんと四方山話をしていたときに、わたしはこんなことをつぶやいていた。

「じつは、週末に花月の勉強会があるのできものを着るんですが、やっぱり絽でしょうかね。お盆以後のきものって気持ち的に秋に傾いてくるから、セオリー通りといえども絽は夏物という感じがすごくするので……。かといってわたしは絽以外のきものがありませんから、絽を着るしかないんですが……」

そうしたところ田中さんが
「たとえば、絽は絽でも『絽ちりめん』があれば、ちょうどいいと思うんだけど……」とおっしゃった。わたしは「そうだわ! まさしくそのとおり」と膝を打つ思いがした。



絽ちりめんは絽ではあるけれど、ちりめんのシボのディテールが、夏のはじまりや終わりの冷え冷えとした清涼を補う質感だから、夏の盛りの前後に重宝する。ちょうど今回のような夏の終わりのお出かけに着るには最適だった。

けれど、夏のきものというものは、そうそうたくさん持てない人も多い。わたくしもその1人である。なぜならば、袷ほど活用する機会が少ないからだろう。
この暑さでは、よほどのことがなければ、洋服ですましたいと思ってしまう。近年の夏の気温は、そろそろガタがきはじめている年代には辛く、汗が噴き出る中、きもので外出するには決死の覚悟がいるからだ。

それに夏物に一度でも袖を通したら、汗ジミにならないように、かならずシーズンの終わりにお手入れに出す必要がある。
そのため、わたくしの場合「今年はこれを着よう」と決めたら、その1、2枚を交互に着るぐらいのバリエーションでやりくりをする。そうでなければ、悉皆代で身が保たない。

いろんな理由が重なって、夏のきものは袷より枚数が要らないことになる。
比較的きものを着る機会の多いわたくしでさえもそうなのだから、たいがいの人の夏のタレ物といえば絽か紗の選択をしているだろう(種類が多い夏の織りのきものは、ちょっと横に話を置いておく)。

「絽ちりめんは真夏でも着られますよ」と呉服屋さんが勧めることがあるけれど、現実的に灼熱の太陽のもとで着る絽ちりめんは、自分はよくたって、他人からは一般的な絽よりも暑苦しそうに見えるかもしれない。
ま、他人のためにきものを着るわけではない、という人もおられようが、他人から見て涼しそうに見えるのも、夏のきものの重要な着こなしのポイントでもある。

長年、絽ちりめんのきものがほしいなあ、と思いつつも、わたくしは自分の使用頻度を考えると、まだ手を出しかねてつくっていない。だから、結局昨日の勉強会には、ふつうの絽の付下げ小紋で出掛けたのであった。

そうしたら、参加メンバーのひとりKさんが、絽ちりめんの無地のきものでいらしていた。
田中さんが指摘したとおり、この素材は風が通る気配がしながら適度な重量感があって、朝晩に新涼を覚える季節にはじつに「しっくり」くる。

ついKさんに「絽ちりめんのおきもの、とても感じがいいですね」と声をかけた。とくに無地は、ザラっとした細やかなシボの質感が少し離れていても、柄がないぶん目立つのだ。
わたしもケチってないでつくろうか……と、絽ちりめんの効果を再確認した日。

さて、花月の勉強会については、また明日にします。
そろそろ9月になりますので、気持ちを入れ替えてブログを更新したいと思います(*^_^*)。




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COMMENTS

Posted by はっぱちゃん  at 2011/09/07 1:11 PM
いつも楽しみに拝見しています。
今年は暑さのせいか、研究会や街でも着物姿が少なく感じました。夏場は着る物に悩みますよね。
絽ちりめんの事をお書きになっていたので着用時期について教えていただけたらとメールしました。
昨年の9月上旬に絽ちりの小紋を着て銀座の呉服店に行ったら、店員さんに「今年は暑いから未だそれを着ていても可笑しくないですよ」的な事をいわれました。私は、母(昭和一ケタ世代)から絽ちりは単とほぼ同じと教わっていたのですが、現在の常識とはズレてるのでしょうか?
今週末、国立劇場の声明公演に着て行こうと思うのですが、銀座の呉服店は有名な人気店だったので、昨年のその一言を思い出しためらっています。


Posted by 植田伊津子  at 2011/09/12 6:11 PM
はっぱさん

こんにちは。はっぱさんのコメントに気づかず、数日経っていましたね。
ご返事遅れてごめんなさい(^_^;)。

今年は暑さは昨年ほどではありませんでしたが、東京は節電の影響なのか、道中の交通機関、外出先の商業ビル内が暑かったので、きものの人は辛かったですね。夏の研究会は、わたくしも洋服で行きました。

絽ちりの件。
わたしも、呉服屋さんにそういう風に言われたら、ちょっと???と思うかもしれません。

絽ちりめんは、はっぱさんの仰るとおり、どちらかというと単衣に付く「夏と秋(もしくは春)の間のきもの」という感じで、個人的な細かい感覚でいえば、秋口なら「お盆以降から9月の第2週ぐらいまでの間」に着るのがもっともしっくりくるような気がします。

絽ちりめんと単衣は着用時期が同じでもよいのかもしれませんが、そうすると9月終わりまで着られることになりますよね。
ただし、やはり絽目がありますから……ね。9月第3週以降に、きものを着るなら、個人的には単衣を着るでしょうね。

週末の声明公演に絽ちりを着て行かれるのは、ちょうどよいのではないかと思いました。
Posted by 律子  at 2011/09/12 10:13 PM
植田さま
私が何度も同じメールを送っていたらごめんなさい。
いきなりですが、植田さまは黒喪服や半喪服はご用意していらっしゃいますか。。
私は両親がもうそろそろお迎えが来ても不思議ではない年齢で、伯父伯母達が他界し始めていますので自分の喪服半喪服を用意しなければいけないかもと考えてます。
袷、単衣、絽を用意しなければいけないですか?
住んでいる地方にもよりますか?
植田さまはどうされましたか。。
ぶしつけな質問で申し訳ありません。
転ばぬ先の杖的に準備万端!とまではいかなくても慌てないように今から用意しなければいけないかもと考えてます。
ぜひぜひ教えていただけますか?

函館市 律子
Posted by 慈海庵  at 2011/09/13 3:24 PM
律子さん
私は、この3年間で両親を見送りましたが、洋装でした。(東京で)
実際に経験してみると、当事者は連絡やら決めなければいけない事で、本当に忙しいのです。黒の喪服(夏、冬)は、母が作ってくれたものを持っていましたが、親族も皆こだわりませんでした。着物をそろえるよりも、黒い洋服をすぐに着られる状態で持っている事を、お勧めします。(時々しか着ないので、サイズがあわなくなる方が多い)

Posted by 植田伊津子  at 2011/09/13 6:31 PM
律子さん

わたくしの年齢は44歳。律子さんと同じように、お悔やみ事のきものに袖を通すほうが多くなりつつあります。

ところで、律子さんはよくきものを着られる方ですか?
またお茶人さんとして、お茶のきものをよく着られる方なのでしょうか?

わたしはお茶のいろんなシーンで使用するために、袷、単衣、絽とも、比較的たくさんの色無地を持っています。それぞれの種類で各1枚ずつ地味な一つ紋付き色無地があるわけですね。

いわゆるこれが「半喪服」にもなるもので、弔事用の帯(「夢」「無」「般若心経」などが記された犢瓩爛哀譟辞瓩梁淆咫△發靴はなごや帯)を締めたら、略装のよそおいとなります。

現代は、一親等の通夜・告別式以外なら、半喪服のきもの(地味な色無地の一つ紋付きに弔事用の帯)でうかがう風潮になっており、その場合でも、半喪服のきものより黒スーツなどの喪服を選ぶほうが多く、「叔父さまが亡くなった」などのたいがいのケースなら、洋服でうかがうのがほとんどのような気がします。

ですから、きものの半喪服は、ある限られた人以外は、用意しなくてもよいのではないでしょうか。
(茶人の場合は、「追善茶会」というケースがけっこうあるので、必要に迫られて地味な色無地を徐々にそろえるのですが……)
律子さんがお茶人さんではないのなら、あたらしく半喪服の袷、単衣、絽を用意するのは、あまり現実的ではないということになりますね。

さて、お父さま、お母さまが亡くなったときには、一親等なので、喪服の黒いきもの(五つ紋付き)を着ますね。
わたくしの場合、父母とも健在のために着用ケースがおとずれておりません。だから、まだ用意していないのですけれど……おそらく伯母が遺した黒紋付きの喪服を着るような気がします。

それはさておき、黒紋付きの喪服をあらたにつくるかどうかについては、迷いますね。
あらかじめ袷や単衣、絽など、それぞれの季節の喪服を用意しておくのは負担が大きいと思いますから。

現代は喪主でさえ、50パーセントほどが洋装だと言います。
冠婚葬祭は親族の女性たちのバランスもあって、ひとり、きものを着ようと思っても、それはかえって周囲から浮いたりもしますし、よそおいのセオリーは地方の慣習に影響されることもあります。

律子さんのご兄弟に、お姉さんや妹さん、お兄さんのお嫁さん(義姉)、弟さんのお嫁さん(義妹)はおられませんか? 
黒喪服については、時間のあるときに姉妹間で相談なさってはどうでしょう。
Posted by 律子  at 2011/09/13 9:14 PM
慈海庵さま

無知で慌てん坊な私の為にご親切に教えていただいて本当にありがとうございました。ご心配をおかけしました。北海道の片田舎の葬儀事情と都会の事情とは一緒にはできない部分もありますが、なにがなんでもキモノでないとダメという風潮ではないと知り、かなりほっとしました。
いざとなったらセレモニーホールや互助会で貸衣装も用意してるそうなのでまたまた安心した次第です。
ありがとうございました。
私が植田さまのブログ紙面を占領するのはこれ以上は控えなければいけませんね。。
植田さま、ごめんなさい!
Posted by 律子  at 2011/09/13 9:51 PM
植田さま

私のぶしつけな質問に大変お優しくご丁寧に教えてくださって本当にありがとうございました!
膝を打つとはこのこと。
私の心配、不安の大部分が季節の弔時用色無地とそれに合わせる帯があれば解決します。そして、黒喪服については1親等のお通夜葬儀で着用するのだから、母、姉、義妹と話し合わなければいけなく、調和が大事だとわかりました。。
できれば避けて通りたい話題ですが避けていてはいざというときに慌ててしまい泣きそうになるに違いありません。それでなくても落ち着いていられない一大事の時ですもの。
実は母の10歳以上も若い妹(私にとっては叔母)が7月中旬に急に亡くなり、お通夜葬儀には母以外、叔母の娘(私の従妹)も親戚の誰一人として喪服ではなく黒の洋装だったそうで、そのことが母にはものすごく不満でありショックだったようです。(私は実家から離れて暮らしていますし平日でしたので叔母のお通夜お葬式には間に合いませんでした。)
それで母が私にはもうそろそろ喪服を用意しておきなさいよと話したわけです。
半喪服は地味な色目の紋付き色無地に弔時用帯を締めれば良いんですね。。
私は2年前、その頃住んでいた札幌から植田さまのアドレスにメールを送り、雪まつりの雪像は雪まつり開催期間が終わればあっけなく翌朝からブルドーザーで壊されますとかお茶のお稽古を再開したくて焦っていますと支離滅裂な相談をしました。
その後、函館に引越しして1年半が過ぎようとしていますがまだお稽古を再開できていません。先生を見つけられないでいます(笑)細く長くお稽古に通い続けたい、それだけですが。。ですから私は未だお茶人にはなれていません。
植田さまのブログ更新を待ちわび、植田さまのキモノベーシックルールの単行本化を心待にしている毎日です本当に(笑)!
近いうちにぜひ函館に、北海道に遊びに来てくださいませ。淡々斎お家元様は北海道布教の最初の地は函館でした。お亡くなりになられたのも北海道(阿寒)でした。たしか昭和39年9月でしたよね。

話がだいぶ外れてましたが、喪服半喪服について大変勉強になりました、まずは家族で話し合わなければいけませんね。教えてくださって本当にありがとうございました!また教えて下さい。

函館市 律子
Posted by 植田伊津子  at 2011/09/14 11:10 AM
冠婚葬祭のよそおいは、本当にそれぞれのご家庭によってさまざまだと思います。
わたくしの夫にはお姉さんがいて、もし夫方の両親がなくなった場合は、わたくしはお義姉さんの様子を聞いて、着るものを考えるでしょうね。

またこんなケースもありました。実妹の結婚式のときです。
実母と「まだそんな歳でもないのだから、黒留は少々老けて見えるし、色留袖にしようか……(末妹が結婚したときのわたくしは、30代後半だった)」と言っていましたが、わたくしより年下の義妹(長男嫁)が「黒留袖にする」と聞いて、再び母と相談。

「義妹が黒留袖を着るなら、それに合わせたほうがよいわね」ということになりました。

着る物にこだわらないご家庭もあるでしょうが、そういう公式な場では、それとなく親子や弟妹のよそおいのバランスをとっているところも多数あると思います。

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