一より習ひ

「稽古とは一より習い十を知り、
 十よりかえる元のその一」なのだそう。
 和の世界をマイペースで巡る
 植田伊津子の徒然記です。

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7月前半

いろんなところに出掛け、いろんなお仕事に励んでいる毎日。時間がビュンビュンと流れていて、ほんとうはそれらの詳細をブログに書けばよいのですが、ちょっとただいま手許が多忙につき、ブログのほうを放置ぎみ。心に余裕がないと、書けないものですね。すみません(^_^;)。7月の前半まとめて、とりあえず。

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某日
谷庄東京店「寄付掛けと茶器」展へ、官休庵の千宗屋宗匠とお出かけ。
『和樂』3月号の
「利休さんに学ぶ『茶の湯』のき」特集(完売)で一緒にお仕事をさせていただいた宗屋宗匠。その後、しばしば何かの折りに声をかけてくださるようになった。


千宗屋宗匠の新刊『もしも利休があなたを招いたら』(角川oneテーマ21新書)。前著『茶 利休と今をつなぐ』(新潮新書)の続編ともいうべきもの。今という時代を強く意識しながら、第三者から見れば茶の湯の摩訶不思議な規則、手順、成り立ちを、基本をおさえてわかりやすく解説。前著と重複するエピソードもあるけれど、2冊まとめて購入されるのをオススメします。

宗屋宗匠のお茶道具の見方や取り合わせは、茶をたしなむ者として本当に参考になるし、次代の茶の湯を真剣に考えている宗匠のお話をうかがうと、流派を越えて、わたくしの琴線に深く触れる部分がある。


それにしても、谷庄さんの毎夏の企画展はおもしろい。本当は本展『寄付掛けと茶器』展の詳細も、きちんとブログに書くべきだったと反省している。
寄付掛けって、フルコースの前菜のようなもの。メインを予感させる……一会の導入部だともいえる。本席の掛け物は、やはり茶会に対する亭主の「本気」が問われるものだけれど、寄付掛けでは亭主の洒落心を表現することができる。肩肘張らず!お洒落に!、そして時代の風(空気感)を吹かせて!……それが今の寄付掛けとして求められるところだろう。
本席掛け物の犢筬瓠寄付掛け物の狃性瓠どちらもおろそかにできない。


寄付掛けについて学びたい人には、こんな本もオススメ(ちなみにこちらの書名にある「待合掛け」と「寄付掛け」は同義)。

寄付掛けのいちばんの特徴は、絵を使うということだろう。本席の定番といえば「字」のもの。いわゆる禅語や消息を掛けるのがポピュラーでなやり方で、他に歌切などもあるが、メインの床は「字」の軸なのである。

けれど、寄付は本席と趣きを異にする意味もあって、季節の風物を絵で表しているものや、画賛(師弟関係や親子関係など、深いつながりを持つ2人が、字と絵で共作する)、俳画(俳句と絵)みたいなものが喜ばれる。もしくは、字だけの要素であっても、ひねりの効いた絵的な字面のもの……などが好ましいとされている。

上記の2冊は、待合のさまざまなタイプの掛け物(右の『茶事茶会における待合の工夫』は、寄付の掛け物だけではなく、煙草盆や汲み出し、敷物を含めた空間のしつらいも)を紹介。バリエーションが豊富なので、ただ眺めているだけでも楽しい。これらを読むと、寄付の役割や意味が総体的に学べるし、自分が茶事をするときのヒントが満載。

この日は、宗匠と
ギャラリー小柳での「佐藤允」展を回ったあと、銀座で会食。


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某日
東京美術倶楽部でおこなわれた「中元 東美正札会」初日へ。
わたくしは今秋、お稽古場の仲間でおこなうお茶事の亭主をする予定なので、茶入か薄茶器で、ピンとくるものがあれば買いたいと思い、開場15分前に着くように出掛けた。
すごい人である。震災以後、なかなか消費が進まない面もあった茶道具だが、この日の会場は熱気にあふれていた。開場と同時に、売約札がバンバン投げ置かれている。関東や北陸、関西の知り合いのお茶人さんたちの顔を見かけた。

知り合いの古美術商さんたちと挨拶をかわし、わたくしも戦闘モードで会場を一巡。結局、当初の目的とはまったく異なる茶道具を買った。天才竹芸家と称される
飯塚琅かん(王偏に「干」)斎の炭斗である。
琅かん斎の籠作品は、茶席では使い良さそうなものが少ない。というのも、この人は茶道具作家ではないからである。昨年『婦人画報』で籠企画頁の編集をしたときに、籠のことを勉強したのが役立った。また借金を返すために働かなければいけないけれど(>_<)。
東美のついでに、銀座の一穂堂ギャラリーで、現代工芸作家による「夏の茶道具展」などを見て帰宅。


ちょうど『目の眼』2011年8月号(創樹社)で「琅かん斎の真・行・草」特集が組まれている。


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某日
宗屋宗匠の七夕の会におよばれ。麻布十番のお稽古場、重窓へ。
竹籠コレクターの
斎藤正光さんの車に乗せてもらってご一緒する。まずは、茶室でお薄を一服いただいたのち、別室でそれぞれが持ち寄った食べ物を自由につまみながら、茶の湯&古美術談義。若くておもしろい方たちばかりである。


斎藤正光さんが監修する竹籠展が2011年7月15日(金)〜23日(土)まで銀座の一穂堂ギャラリーで開催される。齋藤さんは、先に紹介した『目の眼』でも琅玕斎のコレクターとしてピックアップされていた。齋藤さんが得意とするのは、現代の居住空間に置いて違和感のない造形的に見どころがある籠。きっと今度の展覧会でも、そういう趣きの籠が並ぶだろう。展覧会の詳細はこちら

それはそうとして、茶席での取り合わせに心惹かれた。宗匠ならではの感性で、現代と古美術を自在にミックスされていた。
名古屋の長谷川一望斎さんによる風炉&釜に、マットな触感の白磁の平水指(現代作家の作品だったけれど、名前を失念)が、透明なアクリル!の長板の上に載っていた。アクリルの長板なんて、これまで見たことがない! 特注品だという。水面に風炉釜や水指が浮かんでいるかのようだ。

ふつうなら、こういう取り合わせには、茶碗や茶器、茶杓もモダンな現代物を持ってくるのが、ちまたでよく見る風景だったりするけれど、宗匠はこれらにさりげなく時代物を取り合わされていた。

たとえば茶碗は、白磁の水指の前に置くと色気が増幅して見える、トロリとした斗々屋(お酒でほんのりと肌を赤くしたような陶肌。ざんぐりとしたラフな趣き)、茶杓は松平不昧公の歌銘のもので、たしか「ひとつ星」(もしかしたら記憶違いで「いちばん星」だったかもしれない。きわめて華奢な身が特徴的な杓。節の上方向に、小さな針の穴ような虫喰いの跡があった。うーむ、カッコイイ。これを星に見立てた銘だろう)だったと記憶する。
これらが一体となった道具組に心躍ったわたくしであった。

じつはこうした組み合わせは、とてもセンスが必要とされることである。
時間軸やテイストがバラバラなのに、なおかつ一体感のある組み合わせをするには、人並み外れたセンスがいると、わたくしは思っているからだ。簡単にいえば、江戸時代の小袖の装いに、現代の最先端のマロノ・ブラニクの靴を合わせるみたいなことだからである。

茶道具の組み合わせも、ただ古くてよいとされているもの、新しくてよいとされているものを漫然と組み合わせても、素敵になるかどうかは疑問符がつくわけで、しかれどもそれらを上手く組み合わせることができれば、今を生きていながら、なおかつ歴史を共有するかのような不思議な奥行きをもった、茶道具の世界となる。


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某日
とあるところでの企画会議のあと、東京ビッグサイトでおこなわれていた
「第19回東京国際ブックフェア」へ。
紙から電子書籍へと移行しつつあるのか、会場では、新しい形態の出版の在り方を示すさまざまな企業のブースがしつらえられていた。出版形態は変われども、コンテンツ(中身)が大切なのは昔も今も変わらない。何が読者に必要とされているか、だろう。

関西の京阪神エルマガジン社のブースで
『そうだ、京都に住もう。』永江朗著を購入。京都は、大人になってから住みたくなる街なのだ。



角川学芸出版の『日本陶磁大辞典 普及版』のパンフレットももらう。ほう、これ、普及版が出ていたんだ。買いたいと思っていたけれど買っていなかった辞典。やきものの本はいくつか蔵しているが、さっと簡単に引きたいときは辞典である。現状では、角川のこちらの辞典がいちばん使いやすいと思う。今月末(2011年7月末)まで特別定価20,790円なのだそう(通常定価は24,150円)。そそられる(^_-)。




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某日
お茶のお稽古へ。わたくしたちのお稽古場では、7〜9月は茶箱。わたくしは、卯の花点前と千歳盆をおこなった。
こちらのお稽古場に通うことになってから、はじめて千歳盆のお点前をした。すごくなつかしい。
祖母が、小学生だったわたくしによくさせた点前である。茶の湯の初心者が、習いはじめに学ぶ盆略点前に通じる手順である。
そうしたら、なにげに実家のことが思い出されて、このところずっと実家に電話も入れていないと気づく。


最近入ったばかりの新人さんが、卯の花点前をしているところ。茶箱は、拝見ありと拝見なしの場合、仕舞い方に変化があるから、意外とややこしいものだ。
そういえば裏千家の茶箱の点前は、「卯の花」「雪点前」「月点前」「花点前」「和敬」「色紙」と6つの点前が確立されているけれど、他の流派では茶箱の点前がないとも聞いたことがある。


裏千家の茶箱点前のバイブルといえばコレ↓。



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某日
わが社中の若先生が、このたび社中の若手有志を募って、杉並昴青年部へ入会したので、わたくしもこれまで所属していた四谷青年部から異動。昴青年部でのはじめての行事である「若狭盆づくり」に参加する。

講師は横浜市在住の木工芸作家・
小松本宗勉さん。わたくしは、これまでに新宿京王百貨店でおこなわれていた個展や、初期の頃の銀座清月堂でのグループ展「尚磨会」をのぞいたことがある。小松本さんは、淡交ビエンナーレ茶道美術工芸展や伝統工芸新作展で入選の実績を持つ方。

今日は、小松本さん製作の無地の一閑張りの若狭盆に、それぞれ参加者が本漆で絵付けをする企画。総勢15人ほどが午前から午後4時近くまで、昼食をはさんで作業をした。

さて、今回、好きな柄を描いてよいという。小松本さんが用意してくださった図案候補もいくつかあったけれど、
わたくしは自分でオリジナルの笹文様を描くことにした。
下絵を盆に転写し、その輪郭線に沿って漆で柄を描き、好みによって金粉・銀粉で装飾する工程。

途中、残したい線が漆に埋もれてしまったため「どうしたらよいでしょう?」と相談に行ったところ、「不出来なところを油で消してあげるから、もう下絵なしに、フリーハンドで本番の線を描いてみたら」とアドバイスされた。

『下絵なしか……』とドッと冷や汗をかく。けれど出来上がってみたら、下絵を描かないほうが伸びやかな描線となった。金銀箔の細かな粉を蒔いて完成。はてさて使えるかどうか。


下書きの上から本番の線を描いたところ。途中から下書きなしで描いた。
干菓子をお客さまに出す場合、向かって左下と右上に菓子を置くので、図案は右下と左上に。もう少し柄を描きたかったが、うるさくなりそうだったのでこの程度にとどめておいた。


金と銀の粉で装飾したところ。これで一応完成。のちほど小松本さんが、もしはみ出した部分などがあれば、きれいに整えてくださるという。わたくしの作品も狄世亮雖瓩入って、もう少しよくなるかもしれない。


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昨日
表参道へ出たついでに、
DEE'S HALLでおこなわれている「長谷川まみ 匙いろいろ」展 2011年7月13日(水)〜20日(水)へ立ち寄る。長谷川まみさんは、名古屋の茶道金工家・当代の長谷川一望斎春洸さんの奥さま。

茶箱の茶杓に見立てることができそうな、小さなスプーンがいっぱい。ここに並ぶ作品すべてが金属であるのに、どれからも手の触感が伝わって、あたたかさを感じる。お茶の人から見れば、なにげなく置いてある小さな金属ボウルが、茶箱に仕組んだらよさそうな建水に見えたりする。
その他、シンプルなペンダントヘッド、リングなどの装飾品もあって楽しい。



もっとも身近な金属の生活用品が匙だろう。真鍮や銅、銀など、さまざまな材質でつくられている。小さな存在なのに、こんなに表情が豊か。展覧会の詳細はこちら
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