一より習ひ

「稽古とは一より習い十を知り、
 十よりかえる元のその一」なのだそう。
 和の世界をマイペースで巡る
 植田伊津子の徒然記です。

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季刊誌『クリネタ』

研究会の臨時売店で、こちらの雑誌を購入。特集企画が「大特集 クリネタ茶道事始 裏千家千宗室家元独占謁見」とある。書店ではあまり見かけない雑誌である。


青山ブックセンターなど、限られた書店で販売しているみたい。インターネットでも、Amazonで前号の12号までは買えるが、今号は買えないよう……。やる気がないのかなあ。500円。


こちらの季刊誌『クリネタ』(クリネタ刊)は、K2の長友啓典
さん(長く第一線で活躍されている著名なグラフィックデザイナー、装丁家)の編集責任。ちなみに書名の由来は、「クリエイターのネタを取り上げるから『クリネタ』」だという。今号で13号目。

今回の御家元独占インタビュー企画の影の仕掛け人は、坐忘斎御家元の従兄弟に当たられる大谷宗裕さんらしい。大谷さんは、現在、裏千家の組織でいろんな役職にある方。

その昔、伊住政和さん(坐忘斎御家元の弟君。03年、腎不全で若くして亡くなられた)が手がけた「茶美会(さびえ)」という日本を代表するクリエーターたちが関わったコラボレーション茶会からの人脈のつながりで、今回、長友さんを中心とする編集同人5人ほどが、裏千家の東京道場で茶の湯体験を経て、坐忘斎御家元へのインタビューをおこなった。

これが、なかなか興味深いインタビューなのだ。
一般誌をはじめ、専門誌による坐忘斎御家元のインタビューは、やはりお立場のせいか、枠をはみ出さない生真面目さで語られているものが多い。ご自身の言葉であるはずなのに、他の誰かが語っているような、教科書的な受け答えになりがちなのは仕方ないと思う。けれど、こちらでは生の御家元の言葉が満載。

というのも、まったくお茶になじみのないフツーの方が、御家元に、たとえば「家元って大変ですか?」とストレートにインタビューしているのだ。
機関誌・淡交の巻頭言で、門弟たちに向けた坐忘斎御家元オカタイ言葉を読んでいる読者としては、「いろんなご質問に身構えないでお答えになっているなあ」という印象を持つ。
御家元を絶対的な師として仰ぐ門人たちは、たとえ本人に実際お目にかかる機会があったとしても、ここまで気さくな質問をぶつけられないだろう。

御家元が「恒川光太郎」の小説が好きだというのも、はじめて知った。
ロマンティックなチョイスだなあ。リアルでハードな毎日を過ごしているからこそ、クールでうつくしい物語世界に想いを馳せられるのだろうか。



略称「プログレ」、ブログレッシブ・ロックという音楽もよく聴かれるらしい(←わたくしはこちらは詳しくないのでわかりません……が、ピンクフロイドやイエスなどの音楽を包括する総称のようです)。

茶の湯について語られていた中で印象的だったのは……たとえばこんなところ。

……私たちは家元という言い方をされていますけれども、基本的には「庵主」という言葉が本来なんです。私ですと「今日庵主(こんにちあんしゅ)」、表千家さんですと「不審菴主(ふしんあんしゅ)」、武者小路千家さんは「官休庵主(かんきゅうあんしゅ)」で、三つの千家に分かれましたけれども、この庵主という意味は、野球の中継ピッチャーのようなものです。利休のあとを継ぎ、それこそ先祖代々の人たちがみんな、それぞれの家で与えられた役割を果たそうと、試合を壊さないようにマウンドに上がっていたのだと思いますよ。

 長いイニングを投げた人もいれば、短いイニングだった人もいるかも知れない。きっちりと繋いだ人もいれば、四苦八苦した人もいるかも知れない。でも少なくとも次の人間にボールを渡すまで、マウンドを守ったことは事実だと思います。そういう中継ぎが大勢出てくるなかで、その時代に合わせ、かたちづくられていったものもあるのではないでしょうか。
 


……利休様の精神だと言われている「和敬清寂」という言葉がございます。和は和むことだし、敬は敬うことだし、清は清めることですけど、寂というのが、もうひとつ説明がはっきり出来ていなかったかも知れません。それについて利休様はこうだと仰ってるわけではありません。みんな想像するしかありません。私、この間ふっと気がついたのはですね。
……(略)……「和敬清寂」の「寂」で表しているのは、削ぎ落とすということ。そしてそこから、いまの茶の湯をはじめとするさまざまな伝統文化が生まれてきたんじゃないかと思いますね。そのあたりに思いを馳せて頂ければ、利休の茶はこうだ、とか、ああだ、っていうんではなくて、お一人ずつ心の中に茶の湯に対する答えらしきものが出てくるんではないでしょうか。私は茶の湯って、そんなもんでいいと思います。



……目の見えない人が象を触る昔話がありますね。尻尾を触った人は細いもんだ、足を触った人は丸太、大木のようなもんだ、鼻を触った人は蛇みたいなもんだって答える。見えるからって、象全体に触れる人はいない。だから皆さん方、素人もプロもそれなりに、茶の湯に対する接し方から何かを感じられたら、それがいちばん茶の湯の自由な精神に適ってるんじゃないかと私は思っております。


お稽古・茶道 | comments(1) | trackbacks(0)

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COMMENTS

Posted by ペンネーム・草稿  at 2011/07/19 8:36 PM
先日の正札で失礼しました。
クリネタは版元がワニブックスに移ったそうです。それでアマゾンも遅れてるのかも知れませんね。。。

ではでは。

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