一より習ひ

「稽古とは一より習い十を知り、
 十よりかえる元のその一」なのだそう。
 和の世界をマイペースで巡る
 植田伊津子の徒然記です。

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | - | -
<< 「いまどきの盛装きもの」展・シルクラブ | 『亀屋伊織の仕事』山田和市著(淡交社刊) >>

『チャノユ!』冬川智子著(淡交社刊)

犲磴い箸に、まずお茶に触れてほしい
わたくしが掲げている大きな願望である。

正直なところ、5、60歳を過ぎて、お茶を一から習いはじめても、挫折する方が少なくない。この年代は、若い頃ならすんなりと覚えられる点前作法に苦戦するのだ。なかなか覚えられないもどかしさで、へこみもするだろう。

お茶は生活文化であると同時に、芸事の一面も持つ。どうしたって芸事は、若いときに基本を身体に叩き込まれたほうが上達するのである。お茶は、芸事における「上手い」や「下手」という技術的な部分にまったく関係ないとは言い切れない部分がある。
技術的なところをまったく無視して、お茶への興味を保つのは、一般的にむずかしいだろう。

人生は長く、ずっとお茶のお稽古を続けていなくたって、若いときに一時期でも習っていた経験があれば、子育てから解放されるようになる4、50歳のときに「またお茶でもやろうか」とお稽古を再開するきっかけになる。
経験があれば、身体がなんとなく基礎を覚えているから、一から習うよりはすんなりお茶の世界に入っていけたりする。

若いときは技術的な点前作法を磨くだけだったお茶も、年齢を重ねてから再開してみたら、今度は、茶道具の取り合わせや、人間対人間の「もてなし」の面白さに眼が開かれるだろう。点前作法は若い頃にこそ早く修得できるが、「知的な趣味世界」は、大人になって、いっそうの深みに入っていけるものだからである。

もちろん、中高年になってからお茶をスタートし、続けている人がたくさんいることも存じている。しかし、人間として熟成したときに出会う茶の湯が楽しいものになるかは、若い頃に培ったお茶の素地があれば、より有効なのだ。
だからわたくしは、なるべく年齢の早い段階で、お茶の芽が育ってほしいな、と思いつづけている一面がある。


さて、とくに若手の初心者のために……お茶の本の話。

『チャノユ! お茶のお稽古、始めました。』というエッセイマンガが先月淡交社より刊行された。わたくしはさっそく息子(中1)に読んでみないか、と薦めてみたところ「お母さん、コレ面白いよ(^_-)」と。




冬川智子さんという漫画家による茶道のお稽古体験ルポである。
本書は、入門から通常のお稽古の様子、またお茶事デビューや、はじめて初釜へ行く様子が漫画でさらりと描かれていて、さながら茶道入門書的な顔を備えている。

漫画であるから1時間もあればすっかり読めるし、文字の入門書を読むのが面倒くさい、お茶の雰囲気ってどんなものかまず掴んでみたい、という人には判りやすいつくり。とくに大学生以下の人たちにおすすめしたい。

この冬川さん、まったく本当に茶の湯初心者らしく、お茶のお稽古に通うことになったものの、どんな服でいけばいいのか、持ち物はどうしたらよいのか、心底不安な様子がリアルに描かれる。
第一回目のお稽古に行くまでの「茶の湯って堅苦しいんじゃないか」「粗相をしないだろうか」と、多大な妄想との格闘。笑っちゃいけないが、「そうだろうなー」と、わたくしも思わずクスリ。


「うーむ、なんでもかんでも驚きすぎでは? 妄想しすぎでは? 感激しすぎでは?」と、突っ込みながら読むのも楽しい。たぶんとても素直な性格の方なのだろう。


お稽古に行ったら行ったで、まずはやさしそうな先生にホッとし、薄茶が意外に苦くないことに驚き、お点前の動作や茶道具の美しさ……ひとつひとつすべてが新しい発見であることを正直に綴っている。

本書は、茶道をすでに嗜んでいる上の年代の人にとっては「あー、そういえば私もそうだった! 若い頃はこういう気持ちでいたな。若い人のこういう部分をケアして大切に育てていきたいな」という犁い鼎瓩僚颪箸覆襪世蹐Δ掘⊇蘓桓圓縫廛譽璽鵐箸鬚靴討盍遒个譴修Δ澄

冬川さんと同じような初心者が読めば「みんな不安なんだ。わたしだけが特別じゃない。けれどお茶って面白いんだ」と深い共感を寄せることだろう。

現に息子も「ボクも久しぶりにお茶を点ててみようかな」とやる気になった。漫画だからこその即効性である。

お稽古・茶道 | comments(1) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

- | - | -

COMMENTS

Posted by hiro  at 2011/06/03 7:21 PM
私も能楽をしていますが、確かに若いころのほうが覚えがよかったようなきがします。

COMMENT FORM




 

 

TRACKBACKS

Trackback url: