一より習ひ

「稽古とは一より習い十を知り、
 十よりかえる元のその一」なのだそう。
 和の世界をマイペースで巡る
 植田伊津子の徒然記です。

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サライ特集・利休を訪ねる、他

バタバタしている今週でした。
なんとか時間を見つけてお稽古へ行く。金曜昼間のクラスに洋服で駆け込んだ。年あらためてのお稽古一回目が洋服とは、なんとも締まらない出だし。

今日の点前は入子点。
ただこれを普通にお点前するだけじゃ詰まらないという理由で、「この時期ならではの筒茶碗を使いましょう」と師からの指示が飛び、「どうせするなら、四滴の水滴茶器も使ってみます」とわたくしも申し出て、これら扱いのある道具を使用。
ふつうの小習の点前でも、それぞれ扱い方の所作が決まっている道具を使えば、点前手順に複雑さが増す。

ところで、なぜ、替茶器(たとえば四滴茶器)というものが存在しているのか。
茶道では、一般的に薄茶には棗を使うのが王道となっている。しかし、利休形の黒塗棗を「濃茶」に用いた場合、茶事の流れにおける「薄茶」では替茶器を用い、前席の濃茶の棗と異なった姿を取り合わせるほうが好ましいとされる背景がある。

前述した四滴茶器というのは、水滴・油滴・弦付き・手瓶のかたちをした四つ茶器でやきもの製。替茶器の定番として知られている。これらには象牙の蓋がついていて、濃茶器の茶入に似ている。


たとえば、こんな感じのもの。これは、なんのへんてつもないお稽古道具ですが……。

たとえば茶事の場合、濃茶・肩衝茶入(やきもの)→薄茶・棗(漆)という具合に道具を組むことが多いけれど、濃茶・黒塗棗(漆)→薄茶・やきものの替茶器、というふうに相互を入れ替えることもめずらしいことではない。

黒塗棗は、包帛紗や大津袋などの袋を添えると、濃茶器として使用できる。もともと漆塗りのやわらかい木の容器・棗は、利休のお師匠さん、武野紹鴎という人から使いはじめていたものだ。

利休さんは師匠が用いた棗をハタで見て、おそらく「すんごいカッコいいし、私が目指す侘び茶に適う道具だ!」と思ったのか、棗という道具に、侘茶のきちんとしたポジションを与えた。

どういうことかといえば、自分の茶席で棗を多用した。「私はこれが気に入っているですよ」。天下一茶頭として、秀吉臣下の武将たちに見せつける意図が本人になかったかもしれないけれど、対外的に利休のお気に入りの道具をアピールする結果となった。

そして棗の「好み」も確立した。塗りの職人たちに、「こんなかたちの棗をつくってよ。塗りは色柄を使わないで。黒塗にするんだよ」とプロデュース。
利休が好んだ棗は、利休の美意識を突き詰めたかたちや塗りとなったがゆえに品格の高い姿となり、現代にも伝わっている。

さて、今発売中のサライ(小学館刊)の特集は茶の湯。おもしろかったですね。いろいろと。
「利休を訪ねる」とのタイトルで、なんで朝日焼の茶碗が表紙なのかな、とは思いましたけれど。朝日焼といえば、利休より後年の大名茶人・小堀遠州が好んだやきものとして有名なもの。
利休のシンボリックな茶碗なら、違うもの(楽茶碗とか)のほうがしっくりくるはず。この表紙に「どうして???」と思った茶人も多いのではないでしょうか。




お稽古・茶道 | comments(11) | trackbacks(0)

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COMMENTS

Posted by 着物愛好者です。  at 2011/01/19 11:25 AM
おそくなりましたが、新年明けましておめでとうございます。
新春からのご活躍、ブログを拝見していてもフットワーク軽くうごいていらっしゃるなーとうらやましく思います。

今日は質問させていただきたいのですが、数奇屋袋のことなのです。
今まで布製のしか見たことがなかったのですが、「数奇屋袋らしきもの」で革製のものを見ました。
革の数奇屋袋(一部刺繍入り)というのは正式なお茶席には無理だとしても、お稽古などでは許されるでしょうか?
植田様のご意見をお聞かせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by 植田伊津子  at 2011/01/19 4:01 PM
着物愛好者さん、今年もよろしくお願いいたします。

さて、お尋ねの革の数寄屋袋の件。仰せのものが、どんなものかわたくしはまったくわかりませんが、お稽古でも茶会でも、お使いになってよいと思いますけれど……。ダメな理由がわかりませぬ。

一般的に「革」製品を茶席に持ち込むのはダメとか言われているのでしょうかね? まさか? 
茶道具の紐に革が使われていたりしていますから、そんなことは気になさらなくてよいはずですよ。
Posted by Dr.K  at 2011/01/26 10:22 AM
 拝見しました。
 随分と活躍されているんですね(^_^)
 
 確かに、「利休を訪ねる」という本の表紙を飾る写真が「小堀遠州」の遠州七窯の一つの「朝日焼」では、ちょっと違和感がありますね!
 タイトルとは合わないのではないかと、、、。
 編集者がよく知らないで編集したのか、或いは、どうせ、読者は分からないだろうからと、お茶写りのいい器を登場させたのでしょうか?
Posted by 竹とんぼ  at 2011/01/26 11:24 AM
いつも楽しみに拝読しております。
サライの表紙 朝日焼に違和感・・・そうですよね!と思わず初コメント。
最初見た時、どうして朝鮮の茶碗なのかしら?と不思議に思って解説を読んだら「朝日焼」
そこでますます???。時代も違うしこれはないでしょ〜。
利休が長次郎に楽焼を作らせる以前に天目茶碗と一緒に高麗の茶碗が使われています。
この高麗茶碗はどんな茶碗だったのか?
秀吉によって井戸茶碗が主役になる前は・・・?
先週 NHK大河 江を見てからずっと気になっているのです。
Posted by 植田伊津子  at 2011/01/26 4:37 PM
Dr.Kさん
竹とんぼさん

雑誌の表紙は、ともかく強いビジュアルが求められるので、新規に撮影した写真のなかで、もっともおさまりがよさそうなもの(文字を入れるスペースなども考えたのかもしれません)、インパクトがあるものなど、総合的に判断して、この写真になったものと推察します。

たぶん残念なことに、表紙写真決定時に、朝日焼→遠州を想像させる茶碗、という点を指摘する人がどなたもおられなかったのでしょう。
少しお茶に詳しいだれかに、表紙のラフを見せていたら、あとでこんなことを言われなくてもすんだのに〜という感じでしょうか。

>利休が長次郎に楽焼を作らせる以前に天目茶碗と一緒に高麗の茶碗が使われています。
>この高麗茶碗はどんな茶碗だったのか?
>秀吉によって井戸茶碗が主役になる前は・・・?
>先週 NHK大河 江を見てからずっと気になっているのです。

利休所持の高麗茶碗として知られているのは、狂言袴(個人蔵)、古三島(三井記念美術館、他に徳川美術館所蔵のもの)、ととや(藤田美術館所蔵)、小井戸(不審菴所蔵で、蒟醤茶箱に入っているもの)などが挙げられるのではないでしょうか。
いずれも「わび」の感じが色濃く出ている高麗茶碗といえます。珠光の「和漢の境を紛らかす」的な印象をもつものですね。

大河ドラマ『江』の茶の湯シーン、わたくしも思うところがあります。

先週のシーンだったと思いますが、書院台子で天目台を使わずに茶碗を江に差し出したりしてましたよね。

(その茶碗は、天目茶碗ではありませんでした。ただ一般視聴者にとって判りやすいのは台子には天目なわけで……となると、珠光青磁の設定としたのかな、と思いましたが)

「あれ、どうしてだろう」と思いました。
台に乗せずに、ああいう立場の人に、茶碗を出すすことがあるのかなって。

けれど台をつける設定にしたら、出す所作も長くなるわけだし、テレビの「尺」的に、時間が足りなかったのかもしれない……など、ひとりいろいろ考えていたわけです。
今度の大河の監修は、わたくしもよく存じ上げている小澤宗誠先生。これからも楽しみに茶道具の取り合わせを拝見したいと思っています。

ところで、Dr.Kさん。わたくしと直接のお知り合いでしょうか。どなたなのかなと、思っています。
Posted by Dr.K  at 2011/01/27 6:36 AM
植田伊津子様

失礼いたしました(~_~;)
竹とんぼさんのブログと勘違いをいたしました(>_<)
これを御縁に、訪れたく存じます(^_^)
よろしくお願いいたします♪
Posted by Dr.K  at 2011/01/27 10:57 PM
植田伊津子様

今日、さっそく本屋さんに行き、サライを買ってきて読んでおります(^_^)
Posted by 植田伊津子  at 2011/01/28 12:14 AM
Dr.Kさん

竹とんぼさんからも個人的にメールを頂戴して、ようやく事情がわかりました。どうか、これをご縁によろしくお願い申し上げます。

ところで……Dr.KさんのHPを先ほどのぞいたところ、古伊万里バカ日誌が、ほんとうにもうもう可笑しくて可笑しくて……。
ぜひ機会があればお目にかかってぜひその蒐集品を拝見させていただきたいと思いました。
これほどユーモラスに、ボケとツッコミを駆使した所蔵品紹介があるでしょうか(^_^)。いやはや感服しております。
Posted by Dr.K  at 2011/01/29 9:40 AM
梅田伊津子様

 HPをご覧いただきありがとうございます(^_^)
 また、「古伊万里バカ日誌」に過分なるお褒めのお言葉をいただき、恐縮しております(~_~;)

 さっそく「サライ」を読みまして、その感想みたいなものを拙HPの「古伊万里日々雑感」にアップしましたが、ここにも、以下に、それを転載してみました(~_~;)
 ご笑覧ください。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 先日、千 宗屋著の「茶─利休と今をつなぐ─」という本を読んだばかりですが、読後に、今度は、「サライ」の2月号がお茶の特集号になっていて、「利休を訪ねる」という内容であることを知りましたので、さっそく本屋さんに赴き、買ってきて読みました(^_^)

 ここのところすっかりお茶一色になった感じで、これも、お茶で言うところの「ご縁」というものなのかもしれません、、、。

 ところで、「茶─利休と今をつなぐ─」と「サライ」の2冊を読んだ感想ですが、「茶─利休と今をつなぐ─」という本のほうが基本的な本だな〜と感じました。 

 「サライ」も、「大特集:茶の湯入門  「侘び」と「寂び」─そして日常茶飯の芸術を求めて  利休を訪ねる」という見出しですから、茶の湯の入門書というような体裁にはなっていますが、内容は、決して、入門書ではないように感じました。ちょっと断片的な内容で、ある程度お茶を知った人が更に知識を深めるには役立つかもしれませんが、全く知らない人がお茶を知ろうとするには高度過ぎるように感じました(~_~;)
 もっとも、利休にまつわる事象をさ〜っと勉強することが出来るという点では入門書なのかもしれません。。。

 その点、「茶─利休と今をつなぐ─」という本の方は、何故「裏千家」というのか、何故「表千家」というのかというような基本的な疑問にも詳しく解説を加えており、正に、入門書に相応しく思います(^_^)
 また、お茶について、精神面にまで立ち入って、体系的に、わかり易くまとめられていて、これこそ「茶」の入門書にふさわしいと感じさせます(*^_^*)

 結局、「茶─利休と今をつなぐ─」という本と「サライ」を比較しました場合、「茶─利休と今をつなぐ─」という本の方が入門書で、「サライ」はそれを補充する関係にあるように感じました(~_~;)

 私は、幸い、「茶─利休と今をつなぐ─」という本を先に読み、その後に「サライ」を読みましたので、良く理解できてよかったな〜と思っております(*^_^*)

Posted by 着物愛好者  at 2011/02/28 11:40 AM
こんにちは、着物愛好者です。
先日の数奇屋袋の件、お返事をいただいてありがとうございました。
実は、革づかいの数奇屋袋というのは私が絽刺しを習っていて、絽刺しと革で数奇屋袋を作りたいという思いから出た質問でした。無事に2つ加工して、一つは北海道のお坊さんにお布施の代わりに送ることが出来ました。
もう一つは手元にあるのですが、絽刺し普及のためになんとかならないかな?と思っているところです。
私は今年のラッキーカラーが「緑」なので、若草色のグラデーションの絽刺しと若草色の革を使って数奇屋袋を作って、バッグ イン バッグにしようと思っています。
植田さんに助言いただいて、無事に刺繍、加工することが出来ました。
ありがとうございました
Posted by 植田伊津子  at 2011/03/03 1:39 AM
着物愛好者さん
すてきなバッグができあがったようでなによりでした。絽刺し+革の数寄屋袋って、とてもおもしろい。ぜひよかったら写真添付で一度見せてください。
お坊さまも喜ばれたでしょうね(*^_^*)(*^_^*)。

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