一より習ひ

「稽古とは一より習い十を知り、
 十よりかえる元のその一」なのだそう。
 和の世界をマイペースで巡る
 植田伊津子の徒然記です。

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第57回 日本伝統工芸展・日本橋三越



10月のお仕事の打ち合わせのあと、日本橋三越本店でおこなわれている日本伝統工芸展へ。

一昨年の秋、わたくしはブログでこんな記事を書いたことがある。
この記事の主役、磯飛節子(いそひせつこ)さんが、今年、本展において日本工芸会総裁賞を受賞された。ご本人から、「ぜひ見にいらしてください」とご案内を頂戴したのだった。

磯飛さんが、長年、たゆまぬ創作活動に励んでいたとは察せられるものの、こんなに早く、誰もが認める大きな賞を掌中にされるとは、わたくしもわが身のようにうれしくてしょうがない。おめでとうございます。

受賞作品は「重ね六つ目盛籃(かご)『水鏡』」で、一昨年拝見した籠と同じく、磯飛さんオリジナルのぼかし表現を用いたもの。竹編物の可能性に一石を投じた作品ともいえるだろう。ぜひ会場を訪れて見てほしい(*^_^*)。


受賞作「重ね六つ目盛籃『水鏡』」磯飛節子作。(写真は日本工芸会のHPより転載)

日本伝統工芸展は、陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門から成り立ち、伝統の名の下に受け継がれてきた正統派の工芸世界を俯瞰できるわが国最大規模の展覧会である。入賞16点を含む入選作品731点と人間国宝の遺作を展示する。

主催の中心は日本工芸会。こちらの正会員になるためには、こうした世界にはお決まりの「○○先生の門下でなければ……」といった複雑極まりない駆け引きや丁稚奉公的な働きを要求されるなど、まことしやかな噂を耳にすることがあるけれど、それでもこちらの「質」のレベルは、日本の工芸界のトップに君臨するだけのものがある。

わたくしも、時間を見つけてなるべく毎年行くようにしている。
壮観な展示をひとつひとつ見ながら胸のうちで考えていることといえば、「この人が……次に『来そう』かな」とか、「あの作家はどうしてしまったんだろう。期待はずれだなあ」とか。……なんと不謹慎極まりないヤツなのだろう。すみません。
それはともかく、それらの作品が、工芸のどこの軸に位置し、どれだけ本質を突きとめようとして作品をつくっているのかを考えながら見て歩くのが好きなのだ。

今年見た受賞作のなかでは、築城則子(ついきのりこ)さんの「小倉縞木綿帯『面影』」に心が動く。たしか解説文に「名物間道の風格を思わせる……」というような表現があったように覚えているが、小笠原小枝さんの解説に「まったくそのとおり!」と自身も深くうなずいてしまった。

芸術的な糸の細さ、ふつうの木綿縞の倍以上ありそうな整経の手間、どれをとっても気が遠くなる奥深いテクニック。木綿縞でありながら、宝物を包んでおかしくない高い格調を感じる。

また、今から5年ほど前に取材撮影させてもらった織物作家・足立真実さんが、工芸会の正会員になっていらしたのもうれしかった。
彼女の作品は、音楽に発想を得た絣や格子の表現がおだやかで、色づかいにのびやかさがあり、師である
村上良子さんとは別の楽天的な趣きがある。
もちろん、技術的にはまだまだこれからなのかもしれないだろうけれど、同世代を生きる織物作家として、がんばって欲しいなあと心より祈っている。

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第57回 日本伝統工芸展

日時  
2010年9月22日(水)〜10月4日(月)
場所  日本橋三越本館7階ギャラリー
    
東京都中央区日本橋室町1-4-1
電話  03-3241-3311
時間  10時〜19時(最終日は17時30分まで)
無休
入場無料

※会期中に専門家・重要無形文化財保持者による作品解説あり。
※本展は、10月〜来年3月にかけて、全国にて巡回。


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COMMENTS

Posted by リュウちゃん6796  at 2011/10/18 2:51 PM
初めまして、奈良の法隆寺の近くに住んでいます65歳のオジンです。

この度、友人の陶芸家・小出甚吉君の作品が第58回日本伝統工芸展に入選しました。
小生のブログで、彼の作品を幾つか公開しましたので、お暇な折に覗いて見て下さい。宜しくお願い致します。

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